今こそ聴きたい喫茶ロック名曲選〜現役DJが選ぶpure literature’s music(純文学ロック) Vol.1
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感動おすすめ傑作本「遠いアメリカ」常盤新平「海辺で読みたい」第4話〜純文学の喫茶ロック〜 喫茶ロックと喫茶文学 [sitec[…]
吉田美奈子 「ひるさがり」 1973
純文学ロック、一曲目はこの曲からです。
吉田美奈子のデビューアルバム「扉の冬」に収録されています。
「扉の冬」。
紛れもない名盤です。
日本音楽の至宝、といっていいでしょう。
1曲目の「外はみんな」から最後の「週末」まで、どの曲も、すべて、Soulに溢れています。
Soul。
のちにファンクの女王と呼ばれる吉田美奈子ですが、
このアルバムだけは、
もちろん、ティンパンアレイの、抑制ある、けれども躍動的な演奏とともに、
その片鱗は、確かに感じられますが、
とはいえ、
このアルバムの表面は、
まさに、SSWのアルバムです。
けれども、同時にこれは、紛れもなく、ソウルミュージックそのものなのです。
どの曲も、
直接、魂に語りかけてきます。
だから、僕たちは、只々、
心を空っぽにし、
耳を澄まし、
時を忘れるだけなのです。
特に、アルバムB面、最後の三曲。
「かびん」。
「ひるさがり」。
「週末」。
20歳の女性が造った、あまりの深淵に、しばし言葉を失うでしょう。
Discogs: 1973 Vinyl, 扉の冬. リリースのクレジット、レビュー、トラックを確認し、購入。…
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大滝詠一 「それは僕ぢゃないよ」 1972
大滝詠一の最高傑作は、と聞かれれば、ほぼすべてのヒトが「ロングバケイション」と答えるでしょう。
もちろん、「A LONG VACATION」は、永遠の、エバーグリーンの、名作です。
ある時代を象徴するアイコンですら、ありました。
ただ、1972年に出た、「それは僕じゃないよ」=「それは僕ぢゃないよ」が入っている、「大瀧詠一」も、
紛れもなく、名盤です。
これを最高傑作と言ってしまうと、ロンバケファンが、叛乱を起こすかもしれませんが、
やはりそこは、山下達郎のスペイシーと、フォーユー、どっちがいい、レベルの、
悩ましくも幸せな結末な話です。
A面1曲目の「めざめ」、そして2曲目の「それは僕ぢゃないよ」。
もうこの2曲で、引きずり込まれます。
「それは僕ぢゃないよ」=「それは僕じゃないよ」は、1971年にシングルとして出され、
のちにこのファーストアルバムに収録されました。
大滝詠一本人が、「人生最良のボーカル」と認めた歌唱。
松本隆の、詩情溢れる詞。
はっぴいえんどの演奏。
吉田金次のミキシング。
すべてが、高い次元で結実した、これも、日本音楽の至宝というべき楽曲です。
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金延幸子 「み空」 1972
これもまた、至宝でしょう。
渋谷系の文脈で「再発見」された楽曲、アーティストと言われますが、
このアルバム、そして、彼女がかつて存在していた「愚」の「マリアンヌ」を聴くと、
「再発見」というより、
僕たちがようやく、彼女に「追いつき始めた」ということなのです。
彼女は、1970年当時すでに、2020年でもまだ、ほとんどのアーティストが到達していない遥かなる地平で、
かろやかに、奔放に、音を奏で、歌を歌っていたのです。
彼女の曲を聴くと、多和田葉子の小説を思い起こします。
ふたりは、その精神の自由さが、とても似ていると感じます。
このアルバムも、
先の、「扉の冬」、「大瀧詠一」に違わず、
すべてが名曲です。
50年の歳月は、瞬く間に消滅し、
眼前には、今の音、そして未来の音だけがあります。
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この曲の大きな魅力のひとつです。
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ガロ 「地球はメリー・ゴーランド」 1972
ガロというグループは、どうしても「学生街の喫茶店」で語られてしまうことが多いのですが、
いわゆるドメスティックフォークグループとは、やはり一線を画したグループだった、と思います。
彼らのレコードも、一時期、ハードオフ御用達系でしたが、2020年になっても、未だ絶対王者のようにハードオフに君臨しているさだまさしのグレープや谷村新司のアリスとは違い、早々にハードオフから姿を消しました。
僕が、ハードオフの100レコとして手に入れたガロは、セカンド、サード、またはガロライブあたりが多かったです。
また、君の誕生日、ロマンス、あたりのシングルもいくつかありました。
彼らの良さは、やはり売れるだけあって、美メロ、そして、分かりやすいポピュラリティでしょうか。
当時のアーティストでは、チューリップ、オフコースの立ち位置と似ている、と思います。
どちらもきちんとチャートでも成績を残し、またアイドルとして、テレビとの親和性も高く、
ですから、未だに、微妙なところもあります。
個人的に好きな曲は、やはりダントツで、この地球はメリー・ゴーランド。
これは日本ソフロ界の(そんな界があればですが)、やはり至宝でしょう。
あとは、「涙はいらない」。
彼らのファーストアルバムは、
泉麻人もどこかで書いていましたが、同時代のヒトたちにとっては、すごく衝撃だったはずです。
CSNY、そしてブレッドあたりの完コピテクを持ち合わせた、類まれなバンドのひとつだったのでしょう。
ただ、そこも、もうひとつ、コピバンから抜け出せなかった悲哀みたいなものも感じ、そのあたりは竹田和夫のクリエイションに通ずるものがあるかもしれません。
ただ、この曲のみは、未だに、聴くヒトの心をとらえて離さない、エバーグリーンの名曲です。
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キリギリス 「日の暮れぬまに」 1974
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一応、同じシリーズのものも載せておきます。
こちらも、細野晴臣の、珍しい弾き語りバージョンなど、聴き応えのあるアーティストの演奏が収録されています。
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今こそ聴きたい喫茶ロック名曲選〜現役DJが選ぶpure literature's music(純文学ロック) Vol.2 このシリーズ、Vol.2にして、すでにカルトに突入します。  […]