今こそ聴きたい喫茶ロック名曲選〜現役DJが選ぶpure literature’s music(純文学ロック) Vol.1

今こそ聴きたい喫茶ロック名曲選〜現役DJが選ぶpure literature’s music(純文学ロック) Vol.1

 

関連記事

 金延幸子「マリアンヌ」愚 1970〜音楽が純文学だった頃〜DJが選ぶ今日の一曲 金延幸子・中川イサト・瀬尾一二・松田幸一、という音楽家の素晴らしさ1969年の音楽は純文学レコードを掘ると[…]

 

 

関連記事

感動おすすめ傑作本「遠いアメリカ」常盤新平「海辺で読みたい」第4話〜純文学の喫茶ロック〜  喫茶ロックと喫茶文学   [sitec[…]

 

 

 吉田美奈子 「ひるさがり」 1973

 

 

純文学ロック、一曲目はこの曲からです。

吉田美奈子のデビューアルバム「扉の冬」に収録されています。

「扉の冬」。

紛れもない名盤です。

日本音楽の至宝、といっていいでしょう。

 

1曲目の「外はみんな」から最後の「週末」まで、どの曲も、すべて、Soulに溢れています。

Soul。

のちにファンクの女王と呼ばれる吉田美奈子ですが、

このアルバムだけは、

もちろん、ティンパンアレイの、抑制ある、けれども躍動的な演奏とともに、

その片鱗は、確かに感じられますが、

とはいえ、

このアルバムの表面は、

まさに、SSWのアルバムです。

 

けれども、同時にこれは、紛れもなく、ソウルミュージックそのものなのです。

 

どの曲も、

直接、魂に語りかけてきます。

 

だから、僕たちは、只々、

心を空っぽにし、

耳を澄まし、

時を忘れるだけなのです。

特に、アルバムB面、最後の三曲。

「かびん」。

「ひるさがり」。

「週末」。

20歳の女性が造った、あまりの深淵に、しばし言葉を失うでしょう。

 

 

Discogs

Discogs: 1973 Gatefold Vinyl, 扉の冬. リリースのクレジット、レビュー、トラックを確認…

 

 

スポンサーリンク

広告

 

 

 大滝詠一 「それは僕ぢゃないよ」 1972

 

大滝詠一の最高傑作は、と聞かれれば、ほぼすべてのヒトが「ロングバケイション」と答えるでしょう。

もちろん、「A LONG VACATION」は、永遠の、エバーグリーンの、名作です。

ある時代を象徴するアイコンですら、ありました。

ただ、1972年に出た、「それは僕じゃないよ」=「それは僕ぢゃないよ」が入っている、「大瀧詠一」も、

紛れもなく、名盤です。

これを最高傑作と言ってしまうと、ロンバケファンが、叛乱を起こすかもしれませんが、

やはりそこは、山下達郎のスペイシーと、フォーユー、どっちがいい、レベルの、

悩ましくも幸せな結末な話です。

A面1曲目の「めざめ」、そして2曲目の「それは僕ぢゃないよ」。

もうこの2曲で、引きずり込まれます。

 

「それは僕ぢゃないよ」=「それは僕じゃないよ」は、1971年にシングルとして出され、

のちにこのファーストアルバムに収録されました。

大滝詠一本人が、「人生最良のボーカル」と認めた歌唱。

松本隆の、詩情溢れる詞。

はっぴいえんどの演奏。

吉田金次のミキシング。

すべてが、高い次元で結実した、これも、日本音楽の至宝というべき楽曲です。

 

Discogs

View credits, reviews, tracks and shop for the 1972 Vinyl re…

 

スポンサーリンク

 

 

 金延幸子 「み空」 1972

 

これもまた、至宝でしょう。

渋谷系の文脈で「再発見」された楽曲、アーティストと言われますが、

このアルバム、そして、彼女がかつて存在していた「愚」の「マリアンヌ」を聴くと、

「再発見」というより、

僕たちがようやく、彼女に「追いつき始めた」ということなのです。

彼女は、1970年当時すでに、2020年でもまだ、ほとんどのアーティストが到達していない遥かなる地平で、

かろやかに、奔放に、音を奏で、歌を歌っていたのです。

彼女の曲を聴くと、多和田葉子の小説を思い起こします。

ふたりは、その精神の自由さが、とても似ていると感じます。

このアルバムも、

先の、「扉の冬」、「大瀧詠一」に違わず、

すべてが名曲です。

50年の歳月は、瞬く間に消滅し、

眼前には、今の音、そして未来の音だけがあります。

 

Discogs

View credits, reviews, tracks and shop for the 1972 Vinyl re…

 


スポンサーリンク


スポンサーリンク

広告

 

 

 

 バズ 「愛と風のように」 1972

 

 

 

もちろん、この曲を聴いて、ニールヤングを思い起こすヒトも多いでしょう。
スカイラインを思い起こすヒトもいると思います。
メンバーのひとり、東郷昌和は、高橋幸宏と立教中の同級生で、同じバンド仲間。
もうひとりのメンバー、小出博志は、高橋幸宏の兄、高橋信之のバンドメンバー。
高橋信之は、ザ・フィンガーズのメンバー。
ザ・フィンガーズは、成毛滋も、いたバンド。
そして、ザ・フィンガーズの追っかけとして、有名だった荒井由実。

 

つまり、港区音楽の住人でもあり、新宿区音楽の住人でもある、そうした輪っかの中に、このバズというバンドも、いた、
こんな予備知識をもって、この曲を眺めると、
なるほどね、と納得する部分が多々あります。
そういえば、この曲のアレンジは高橋信之、ドラムは、高橋幸宏です。
絶妙なタイム感のドラム、

この曲の大きな魅力のひとつです。

1972年の時点で、これほど洗練された音楽があったことの驚き、
そうした発見が、やはり喫茶ロックの醍醐味だと思います。

 

 

そういえば、バズのファーストアルバムには、荒井由実、小原礼も参加しています。

 

 

関連記事

松任谷由実「潮風にちぎれて」1977〜「港区音楽」が全ての始まり〜DJが選ぶ今日の一曲【荒井由実=松任谷由実】という音楽家の素晴らしさ港区音楽とは?音楽の黄金時代は、1970年から1977年まで […]

 

関連記事

山下達郎「夏の陽」1976 RCAレコード「新宿区音楽」がDOWNTWONに拡がりだした〜DJが選ぶ今日の一曲〜  1975年というターニングポイント新宿区音楽というDOWNTOWN・MUSI[…]

 

 

Discogs

View credits, reviews, tracks and shop for the 1972 Vinyl re…

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

 

ガロ 「地球はメリー・ゴーランド」 1972

 

ガロというグループは、どうしても「学生街の喫茶店」で語られてしまうことが多いのですが、

いわゆるドメスティックフォークグループとは、やはり一線を画したグループだった、と思います。

彼らのレコードも、一時期、ハードオフ御用達系でしたが、2020年になっても、未だ絶対王者のようにハードオフに君臨しているさだまさしのグレープや谷村新司のアリスとは違い、早々にハードオフから姿を消しました。

僕が、ハードオフの100レコとして手に入れたガロは、セカンド、サード、またはガロライブあたりが多かったです。

また、君の誕生日、ロマンス、あたりのシングルもいくつかありました。

彼らの良さは、やはり売れるだけあって、美メロ、そして、分かりやすいポピュラリティでしょうか。

当時のアーティストでは、チューリップ、オフコースの立ち位置と似ている、と思います。

どちらもきちんとチャートでも成績を残し、またアイドルとして、テレビとの親和性も高く、

ですから、未だに、微妙なところもあります。

個人的に好きな曲は、やはりダントツで、この地球はメリー・ゴーランド。

これは日本ソフロ界の(そんな界があればですが)、やはり至宝でしょう。

あとは、「涙はいらない」。

彼らのファーストアルバムは、

泉麻人もどこかで書いていましたが、同時代のヒトたちにとっては、すごく衝撃だったはずです。

CSNY、そしてブレッドあたりの完コピテクを持ち合わせた、類まれなバンドのひとつだったのでしょう。

ただ、そこも、もうひとつ、コピバンから抜け出せなかった悲哀みたいなものも感じ、そのあたりは竹田和夫のクリエイションに通ずるものがあるかもしれません。

ただ、この曲のみは、未だに、聴くヒトの心をとらえて離さない、エバーグリーンの名曲です。

 

Discogs

Discogs: 1971 Vinyl, Garo. リリースのクレジット、レビュー、トラックを確認し、購入。…

 

Discogs

View credits, reviews, tracks and shop for the 1972 Vinyl re…

 


スポンサーリンク

広告

 

 

 キリギリス 「日の暮れぬまに」 1974

これまで紹介してきた楽曲は、まがりなりにも、それなりにメジャーなものでしたが、このキリギリスのこの曲のようなものが、
いわゆるホントの喫茶ロック、とでも言えるのかもしれません。
ホントの喫茶ロック、という言い方も変なのですが、
つまり、freesoulムーブメントと同じく、喫茶ロックもまた、世界の片隅で、誰に聴かれることもなく、捨て、忘れ去られていた名曲を、DJたちが、足と時間をかけて、自分の感性だけを頼りに見つけ出していった、そうした行為の集体が、freesoulであり、喫茶ロックだからです。
キリギリス。
なんというか、
でも、まあ、バンドの名前なんて、いろいろな意味でいい加減で、あのビートルズでさえ、カブト虫なのですから、
このキリギリス、
はちみつぱいのメンバーで、稀代の名曲「ぼくの倖せ」の作者、渡辺勝が、はちみつぱい脱退後、アーリータイムス・ストリングバンドを経て、今井忍、竹田裕美子と組んだ際のユニットです。
レコードに刻まれた音源はたった二曲のみ。
1974年の「 HOBO’S CONCERT VI 空は君になじめたか」でしか、聴くことができません。
その一曲がこの「日の暮れぬまに」です。
このアルバムには、他に、「僕の倖せ(キリギリス)」、「ここは六日町あたり(斉藤哲夫)」といった名曲が収められています。
この「日の暮れぬまに」は渡辺勝ではなく、今井忍が歌っています。
ピアノとアコースティックギターの見事なアンサンブル。
今井忍の、日が暮れていく映像が眼前に浮かび上がる、儚く揺れるボーカル。
名演、名唱です。
こうした曲に出会うと、音楽を聴き続けてきて、よかった、と心の底から思えるのです。
彼らはいまだに、アーリタイムスストリングバンドとして、各地のライブハウスで、演奏をしています。
ちなみに、この曲の入っている「ホーボーズコンサート」とは、1974年に、1年を通して、池袋のシアターグリーンで開催されたコンサートです。当時の気鋭なアーティスト、グループ、今や伝説となっている人々が、数多く出演しています。
細野晴臣、銀河鉄道、シュガーバイブ、センチメンタルシティロマンス、キャラメルママ、シバ、西岡恭三、林亭、ダッチャ、南正人、小坂忠、葡萄畑。。。
もう、たまりません。
リアルタイムで見られたヒトはとてもとても幸福だったと思います。

 

広告

 


 

一応、同じシリーズのものも載せておきます。

こちらも、細野晴臣の、珍しい弾き語りバージョンなど、聴き応えのあるアーティストの演奏が収録されています。

広告

 

合わせてよみたい

今こそ聴きたい喫茶ロック名曲選〜現役DJが選ぶpure literature's music(純文学ロック) Vol.2 このシリーズ、Vol.2にして、すでにカルトに突入します。  […]