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WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.14 最終章

「僕たちはみんな、哀しき70’s kids」   とりあえず思い出話はこれで終わりだ。 だが、往々にして、こういう話には後日談がある。       「それで、夏美ちゃんや春菜ちゃんは、夏休み、何、やっているの?」僕は運転しながら助手席の真理に訊いた。 「夏美は中学生だから毎日部活。それから塾の夏期講習。演劇部なんだ。演劇、相当好きみたい。しかも古 […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.13

  「そのとき、僕たちはたったの中学三年生だったんだ」   光が差し込んでいる。 一瞬僕は自分が森の奥深くにいるように思えて飛び起きると、そこは吉田さんの家の応接間だった。朝の光が応接間に舞う淡い塵にキラキラ反射していた。人の気配がして振り返るとそこに真理が座っていた。彼女がなぜここにいるのか一瞬わからず、けれど寝る前の吉田さんとのいきさつを急に思い出して、真理の顔をまともに見 […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.12

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.12   「俺は、最低の男、なんだ、、、」     吉祥寺駅を降りると改札口で手を振っている女性がいた。 「吉田真奈さん。私のピアノの先生」その女性を真理はそう紹介した。吉田さんは世間一般のピアノの先生イメージとはまったく違う、洗いざらしの白いTシャツにこれまた洗いざらしのところどころ破けたジーンズ、背は […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.11

    「ミチとシュラ…   哀しい70’s kids」   ものすごく暗い店だった。ものすごく静かな店だった。右側は長いカウンターになっていて、ところどころにキャンドルが置かれていた。後ろには仄かな電球に照らされたお酒のビンが並んでいて、カウンターに沿って脚の長い椅子が何脚か置いてあった。左手はまっ白い壁だった。カウンターが途切れたあたりが左 […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.10

「夕暮れの河原、僕と真理と、蕪谷だけの、川の音」 二学期になった。 朗報があった。シンプルドリームの学校祭出演に正式許可が下りたのである。これはもう山田正義、坂下真理、染谷美保、という優等生トリオの信頼の賜以外の何ものでもなかった。だから練習にも自然と熱が入った。週一回、日曜の午後、僕達はヤマさんちの納屋で練習した。ドラムはいなかったが、それでも僕達は真剣に練習した。これなら蕪谷に聞かせても文句は […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.9

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.9     それから僕達は何度か蕪谷の蔵で練習をした。 練習するたびにうまくなる手応えを誰もが感じていた。 心をひとつにする喜びも感じていた。 僕達はもう、正真正銘の仲間だった。 ヤマさん。僕。ダースコ。坂下真理。染谷美保。蕪谷樹一郎。 五人のシンプルな夢を目指す仲間。 でも。 突然、大事件が勃発したのだった。 & […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.8

  WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.8   「バンドが転がり始めた。蕪谷が、オレたちの仲間になったんだ」   夏休みになった。 蕪谷は一度も登校してこなかった。 僕とヤマさんは例の道を調べまわったが、場所を特定することはできなかった。 そして、夏休みになった。 そう。夏休みに。 中学最後の夏休みに。 1975年の夏休みに、なったんだ。 […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.7

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.7     「1970年の思い出。そしてまたもや染谷からの告白」     『道をなくした者』クンの葉書については、蕪谷の家を訪問した数日後、さっそくヤマさんに報告した。 話を聞き終わったヤマさんは、おごそかに言った 「マー。それは、俺の鋭い勘によるとだ。それは、確かに、蕪谷だ」   & […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.6

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.6     「すごいことが起こった。奇跡のようなこと。そして謎は深まる」     いやあ、暑くなったね、そろそろ梅雨も終りだ。すると夏がやってくる。ボーイズミーツガールズ、新たな出会いのシーズンがやってくるわけだ。 キミの夏も、そんな心踊る熱い夏になるといいね。心優しきDJの僕はいつもスタジオか […]

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.5

WEB/STORY「哀しき70’s Kids」ch.5     「そうだった。染谷は英語係だった」     次の日もそのまた次の日も雨だった。   謎の転校生、蕪谷樹一郎は未だ一度も学校に来ていない。   佐島は、ハッハッ、あの野郎、俺のことが怖くて学校に来れねえでやんの、ハッハッ、東京野郎はナヨナヨしててよ、モヤシ以下だわ、 […]

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