現場から見たプログラミング教育〜スクラッチはやっぱり王道のプログラミング教育ツール〜後編

現場から見たプログラミング教育〜スクラッチはやっぱり王道のプログラミング教育ツール〜後編

 

前編では、5年生の正多角形と円の学習にプログラミング教育を導入する、その第1段階をみてきました。

 

前編

現場から見たプログラミング教育〜スクラッチはやっぱり王道のプログラミング教育ツール〜前編現場から見て、使いやすいプログラミング教育ツールのベスト3は、 ① ビスケット② MESH③ スクラッ[…]

 

後編では、実際にスクラッチを使っての授業を考えます。

 

 

スクラッチを使った5年生算数の授業展開

 

 

scratch(スクラッチ)とは

scratch(スクラッチ)とは、マサチューセッツ工科大学が開発した無料の教育プログラミングビジュアル言語です。全世界で、プログラミング教育といえばscratch(スクラッチ)というほど普及している、いわばプログラミング教育界のAmazonみたいな存在です。
確かに、とても使いやすいのですが、日本人から見ると、ビジュアルとか、若干、欧米か!(古い)という感じは否めませんが、小学校中学年以降なら、ほぼ無理なく操作できるのはないでしょうか。
ということで、前哨戦、「プログル」で1時間学んだ子供たちが、そのステップアップとして、いよいよスクラッチに挑戦するのが本時となります。

 

ということで、実際の指導案をみていきます。

 

コアカリキュラム(正多角形と円をくわしく調べよう内配当2時間)2/2 スクラッチを使って

 

2時間目は、1時間目とまったく同じ内容を、今度はスクラッチを使って行います。スクラッチに慣れる、ということが大きなねらいとなります。

 

教科の学習とプログラミング教育の関連

 

本時においては、Scratchを利用し、辺の長さと角度を指定することで、正多角形を作図する。前時の「プログル」でのプログラミングを想起させながら、Scratchでのプログラミングスキルを向上させたい。

本時は、「辺の長さが全て等しく、角の大きさが全て等しい」という正多角形の意味を再確認しながらコンピュータを用いて作図することをねらいとする。その際、コンピュータを使うと、物差しと分度器を用いて手で正多角形をかく作業に比べ、正確に、速く、何度でも同じ作図ができることに気付かせたい。また、Scratchを操作することを通し、プログラミングの基礎概念、順次・分岐・反復を理解させながら、プログラミング的思考を育成する。

Scratchでは、「プログル」と同様、外角を用いる。外角という概念は、第5学年の子供たちにとって未習の内容であるが、すでに前時「プログル」でのプログラミングにおいて外角の概念はおおよそ掴んでいる。繰り返しの学習において、その概念を定着させる。

本時は、Scratch操作を習得しつつ、前時の学習を今一度、確認する、というねらいをもつ。そのため、この時間を省くことも可能である。だが、これからのプログラミング教育において、Scratchに慣れることは必須となってくる。内容的にはほぼ同じではあるが、この授業を行う意味はあるだろう。

 

 

◎ 展 開(2/2校時)

学習活動指導上の留意点
前時の確認をする。

・プログルでプログラミングして正多角形をかく学習をしたことを想起する。

■ 課題をつかむ

スクラッチを使って、正多角形をかくときのきまりを考えよう。

必要な数値は「歩数」「回す角度」「繰り返す回数」であること、回す角度は「360÷辺の数」で求めることができることを確認する。
20・めあては前時と同じで、プログラミングソフトが違うことを知る。

・スクラッチの基本操作を知る。(プログルとほぼ同じであることを知る)

・ブロックのつなげ方、外し方、消し方、実行やリセットのしかたを知る。

■正方形をかく。

展開例1 → 参考動画を見ながら進める。

展開例2 → 授業者が進める。

①「イベント」から「旗が押されたとき」をもってくる。

②「制御」から「10回繰り返す」をもってきて「4」に直す。

③拡張機能から「ペン」を選ぶ。

④「ペン」から「ペンを下ろす」をもってきて「繰り返す」に入れる。

⑤「ペン」から「全部消す」をもってきて、独立して置く。

⑥「動き」から「10歩動かす」をもってきて「100歩」に直し「繰り返す」に入れる。

⑦「動き」から「15°回す」をもってきて「90°」に直し「繰り返す」に入れる。

⑧「制御」から「1秒待つ」をもってきて「繰り返す」に入れる。

⑨プログラムを実行するときは「旗」を押す。

⑩もう一度やり直すときは「全部消す」を押す。

 

参考動画、または授業者の操作により全体で考えるようにする。

20■正三角形をかくプログラムを考える。(個人またはグループ)

うまくできたら、正六角形をかくプログラム

→ 正五角形をかくプログラム

→ いろいろな正多角形をかくプログラム、

に進んでいく。

「60°回す」ではうまくいかないことを確認する。

外角の大きさを考えるとうまくかけることに気付かせる。

回す角度は360°÷ 辺 になることを確認する。

<評 価>

・正多角形をかくプログラムを考えることを通して正多角形をかく時のきまりを考えることができたか。(知識・技能)(観察・作成プログラム)

・試行錯誤しながらも自分の考えをプログラムで表現しようとしているか。(主体的に学習に取り組む態度)(観察・作成プログラム)

40■ふり返りをする。

(算数科に関するふり返りの視点)

「正多角形をかくときのきまりについて理解したこと」

(プログラミング教育に関するふり返りの視点)

「プログラミングをしてみて感じたことや考えたこと、もっとやってみたいこと」

 

 

 

なお、展開内にある参考動画とは、こちらになります。

 

YouTube

ビジュアル型プログラミング言語の基本的な操作を手順ごとに説明した教材です。Scratch 正多角形をプログラムを使ってか…

YouTube

ビジュアル型プログラミング言語の基本的な操作を手順ごとに説明した教材です。Scratch 正多角形をプログラムを使ってか…

【出典元 小学校を中心としたプログラミング教育ポータル(未来の学びコンソーシアム)より】

 

 

では、展開を具体的に見ていきます。

 

①「イベント」から「旗が押されたとき」をもってくる。

 

 

こんな感じです。

 

②「制御」から「10回繰り返す」をもってきて「4」に直す。

 

③拡張機能から「ペン」を選ぶ。

 

 

④「ペン」から「ペンを下ろす」をもってきて「繰り返す」に入れる。

 

 

⑤「ペン」から「全部消す」をもってきて、独立して置く。

 

 

 

⑥「動き」から「10歩動かす」をもってきて「100歩」に直し「繰り返す」に入れる。

 

 

 

⑦「動き」から「15°回す」をもってきて「90°」に直し「繰り返す」に入れる。

 

 

 

⑧「制御」から「1秒待つ」をもってきて「繰り返す」に入れる。

 

 

 

 

⑨プログラムを実行するときは「旗」を押す。

⑩もう一度やり直すときは「全部消す」を押す。

 

 

と、まあ、前編と後編、ふたつに分けて紹介したスクラッチ(プログル)を使っての算数+プログラミングの授業実践ですが、今後の授業の参考にしていただければ幸いです。

 

 

前編

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